横須賀中央駅から緩やかな坂を登ってたどり着いた、横須賀市立青少年会館。ホールに設えられたシンプルな舞台と観客席は、開演前から和やかな雰囲気に包まれていました。2019年に設立された「よっしゃ‼︎」は団員が全員60歳以上。今回出演するのは25名。観客はそのお友達、ご家族、お知り合いの方が多いのか会場での会話も弾みます。
1話目は狂言『ぶす』をアレンジした、和尚様ととんち坊主の話『あおげあおげ』。分かりやすくも、狂言らしいしぐさも生かした演出で、和尚に手をつけてはいけないと言われていた壺の中身(実は水飴)をあっという間に平らげてしまう坊主の様子は笑いを誘っていました。
2話目『かさじぞう』も楽しい演出がたくさん。爺様が「誰かに似てないか?」と地蔵に語りかける場面では、五月みどりさん、黒柳徹子さんなどの名前や、この頃ワイドショーを賑わせていた方の名前も。皆が知っている話も、このようにして今を楽しむ術が加わるのが芸能の魅力だと感じるひと時でした。パンフレットに並ぶ劇団員のコメント「心豊かな爺様と婆様。2人の世界観を表現したい。」「かわいいお地蔵さん役。童心に帰って楽しみます。」といった言葉も印象に残りました。(橋本)
撮影:長谷川健太郎