対談 OriHimeパイロット さえ×俳優 藤野涼子 『遠隔で共創する、心の豊かさをうむ出会いの物語』

ぬいぐるみサイズの小さな分身ロボットOriHimeは、コロナ禍や障がいで外出が困難な方にとって、希望の光となるコミュニケーションです。操縦者はスマートフォンやタブレット端末によりOriHimeを通じて、見たり話したりするほか簡単な身振り手振りを加えた操作ができ、まるでロボットに実際に“搭乗”しているかのように、遠隔でその場に「居る」ことができるのです。
 すでに社会で実用化され、障がいなどで外出が困難な人に、分身テレワークでの就労を叶えているOriHimeが、なんとドイツのベストセラーファンタジー小説『ちいさなちいさな王様』を主題とするリーディングシネマに出演しています。搭乗するパイロットは、身体表現障がいを抱えて10年以上外出ができない生活を送るさえさん。相手役としてNHK大河ドラマ「青天を衝け」にも出演中の藤野涼子さんが共演します。
 作品づくりの稽古に入る前に、ふたりの対談を行いました。OriHimeに乗るさえさんと藤野さんは、この日は初対面です。

—OriHimeを通じたお互いの初対面の印象はいかがですか?
藤野:小さくて可愛らしいフォルムで、ロボットのイメージが変わりました。首を振ったり拍手をしてくれると、本当にコミュニケーションしている気持ちになれます。

さえ(OriHime):はじめまして。
藤野さんをテレビで拝見していて、とても素敵な女優さんだなと思ってたので、ご一緒できるなんて夢みたいです。実際にお会いして見て、初対面なのに優しく気遣ってくださって。

藤野:OriHimeが活躍するカフェのイベントがありましたね。その時、さえさんも働かれていたのですか?

さえ:はい、2年ほど前から期間限定のカフェを年に4回ほふどやっていて、いつもお仕事させていただいています。
もともとはバリスタをしていたんですよ。昨日は二子玉川の蔦屋家電、普段は神奈川県庁で受付の仕事をしてます(※)。
(※現在は終了しています。)

—今回のリーディングシネマについてどう感じていらっしゃいますか?

さえ:女優さんとお会いするのもそうですが、初めてのことばかりでドキドキしています。家から出られなくてもこんな機会があることがとても嬉しくて。ロボットだけど、人らしさやあったかい感じを届けられたらいいなって思っています。

藤野:この作品は大人にも刺さる言葉がたくさんちりばめられているなと感じました。成長していくにつれて夢や想像力が大きくなっていく「王様」と、その反対に大人になるにつれて夢や想像力を失っていく「僕」。その姿にとても考えさせられました。私の近くにも「王様」がいたらいいなと思いました。もしも「王様」がいるとしたら、どうこにいるのだろうと想像してしまします(笑)

さえ:この絵本とは病気になる前に出会っていて、大好きな絵本だったので、運命みたいなものを感じているんです。今回、私は「王様」役ですが、改めて読み返して、以前とは印象が変わって、主人公の「僕」にすごく共感しました。毎日のルーティーンを諦めるように生きている「僕」が、「王様」に出会ってから、少しずつ心が豊かになり、想像力が戻ってくる様子が、病気になって家から出られずに寂しかったり悔しかったり、ままならない気持ちで暮らしていた私が、OriHimeと出会って自分の世界を広がっていったのと、とても気持ちが重なりました。

—作品づくりに向けた意気込みをお聞かせください。

藤野:OriHimeの開発者である吉藤健太朗さんが、「つながりができることで、孤独を感じずにすむ」と話をされていて、その言葉にとても感動しました。私はこの企画を通してOriHimeの存在をしったので、子供から大人まで、多くの世代の方々にこの作品を見てもらいたいです。この作品がOriHimeのことを知るきっかけになればいいなと思います。

さえ:元気なひともコロナで外に出られなかったりする時代なので、病気や障がいに関係なく、いろんな人にOriHimeの可能性を感じてもらえたらいいなと思っています。これがご縁で人の輪が広がっていくといいですよね。藤野さんの『ちいさなちいさな王様』の感想を伺って、ひとつの作品をみんなで創っていくのが楽しみだなって思えました。

藤野:今回の対談でさえさんが感じていることを私ももっともっと知りたくなりました。
これから稽古に入るのが楽しみです!

 


〇プロフィール

さえ
(OriHimeパイロット)
身体表現性障害を抱え、外出ができない時期が10年ほど続いているが、1年半ほど前か
らOriHimeを使ってカフェや書店、神奈川県庁等での仕事を始める。2020年1月市原悦子さんの追悼朗読会「まんが日本昔ばなし」に出演。

藤野涼子(ふじのりょうこ)
2015年に「ソロモンの偽証」で主演デビュー。日本アカデミー賞新人俳優賞など、数多くの賞を受賞。2016年「クリーピー 偽りの隣人」(映画)、2017年NHK連続テレビ小説「ひよっこ」など出演作は多数。2019年には「神奈川県統一地方選」のイメージキャラクターも務める。2021年NHK大河ドラマ「青天を衝け」に主人公の妹・てい役で出演中。

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