小田原シニア劇団チリアクオールディーズ『常盤木の風』公演レポート

小田原シニア劇団公演「常盤木の風」の一場面。「劇団ときわぎ 桃太郎 本番まであと5日」と書かれたホワイトボードの近く、役者が4名立っている。真剣な顔つきの人もいれば、笑っている人もいる。舞台は公演を間近に控えた、とあるシニア劇団の稽古場。看板女優が言い放った「役を降ります」という言葉が波紋を広げ、メンバーが悩んだり、話し合いを行ったり、勇気を出して進言したり、とそれぞれに奮闘する様子が描かれます。シニア劇団をシニア劇団が演じるという設定のため、例えば誰かが立ち上がるたびに「私も付いていきましょうか」と声をあげる人、酔っ払うと発語が曖昧になる人など、演者の人物像を反映しているのだろうかと想像が膨らみました。

2月3日(土)の終演後は、本劇団プロジェクトリーダーの大島寛史さんが、横須賀シニア劇団「よっしゃ!!」プロジェクトリーダー・横田和弘さんとトークを行いました。シニア劇団を率いているからこそ感じる、台本通りには行かないけれど、想像の範囲を超えて芝居が成立していく面白さなどを語り合い、観客の皆さんも終わったばかりの公演に思いを馳せながら真剣に耳を傾けていました。

ビール瓶ケースを3つ重ねてテーブル代わりにしたものの周りに4名の男性が立っている。皆が腕を挙げ、盛り上がる一方、中央にひとり、肩を落として、苦い表情をしている人がいる。 劇中劇である「桃太郎」の一場面。7名ほどの役者が集い、中央には「宇宙一」とかかれた旗を持つ桃太郎が立っている。