『精神障害を考える演劇ワークショップ・プロジェクト』中村マミコさんにうかがいました!

OUTBACKの過去の稽古写真。参加者は輪になって盆踊りのように手を上げている。輪の中心には光沢素材のスーツを着た男性が、マイクを片手にメモを読み上げている。
撮影:佐藤光展

Q1 まずは中村さんが共同代表を務める「OUTBACKプロジェクト」の「OUTBACKアクターズスクール」について教えてください。
 
地域で暮らす精神疾患のある人たちと演劇を作る活動をしています。既存の台本を使うのではなく、自身の病気を経ての体験や考えたこと、感じたことなどを中心に作品を作っています。

Q2  今回の演劇ワークショップ・プロジェクトではどのような活動を行いますか?
 
OUTBACKのメンバーと共に精神科病院を訪問し、ワークショップを行います。体を動かすゲームを通じて交流しながら、それぞれが大切に思う音楽を披露し、なぜその音楽が大切なのか、音楽をきっかけに自身のことを語り、聞き合う時間をつくります。

精神科病院は長期入院をしている方も多く、病院の外の世界との関わりが持ちづらいという側面があります。そこに入院経験をもつOUTBACKのメンバーが訪れ、関わりを持つということは、互いに近い存在として、思いや考えを共有できるのではないかと思っています。

OUTBACKの過去の稽古写真。正面には椅子の上に立つ女性が一人。その両隣には、後ろに続くようにしてメンバーが並んでいる。船の先端を形作っているようである。

Q3 なぜ「音楽」を切り口にしたのでしょうか?
 
私は福祉の仕事をしているときに、多くの病院や施設でカラオケが身近な娯楽として親しまれているのを見てきました。また以前、精神疾患のある方がカラオケで情緒的な歌を歌うのを聴いたときに、それまで興味がなかったその曲がすごく良いなと思えたことがあって。ご自身が歌の世界観に重なるような経験をしてきたからこそ、こんなに真に迫って聴こえるんだなと思いました。音楽は、その人の人生や大事にしていることを知る手がかりになると感じています。

Q4 3月に予定されている成果発表会では、どのようなことを行う予定ですか?
 
OUTBACKのメンバーたちがワークショップの場で起きたこと、その場で受け取ったことを、パフォーマンスで表現できたらと思っています。またメンバーや有識者によるトークの時間も想定しています。

Q5 最後に、このプロジェクトを通してどんなことが起こるのを期待していますか?
 
精神科病院や精神障害と聞くと、どうしても遠い世界に感じてしまう方も多いと思います。でも、気持ちが落ち込むとか、精神的な不調でお休みするとかは、誰にとってもあり得ることですよね。精神障害が自分たちの世界と地続きだということを受け取ってもらえるようなアウトプットを、OUTBACKのメンバーの力を活かしながら作りたいです。

中村マミコさんの写真。山を背景に両手を広げている。
中村マミコさん

 

 

 

 

 

 
 
 

「精神障害を考える演劇ワークショップ・プロジェクト」とは
 
精神疾患を抱えながら演劇活動をしているOUTBACKのメンバーが精神科病院に赴き、ワークショップを行うプロジェクト。2025年3月9日(日)に神奈川県民ホール小ホールにて成果発表イベントを予定。