★web限定記事★ 「美奈和会」の活動を取材しました

横浜市港北区にある「障害者スポーツ文化センター横浜ラポール(以下、ラポール)」が主催する「ラポールダンスコンテスト」。障がいのあるダンサーが集結し、互いの発表を通して切磋琢磨する場として盛り上がりを見せています。共生共創通信20号では、このコンテストについて取材しました。

初開催の2023年から3年連続でコンテストに参加してきたチーム「美奈和会」に伺ったお話を、紙面より拡大してお伝えします。

代表の猪野俊子さんと保護者のみなさんにお話を伺いました。

猪野俊子さん

チームについて

 

――どんなダンスチームですか。

猪野さん:私の息子が高等部を卒業したときに立ち上げて、30年以上活動しています。現在は、ダウン症のある20〜50代まで、主に10人のメンバーが活動しています。レッスンは20年以上、神谷知枝先生にお願いしていて、週に一度、週末に練習しています。
はじめは体力づくりを目的にしており、家族に観てもらう発表会を年に一度行ってきましたが、数年前から外部の発表の機会に参加することも増えました。

 

ラポールダンスコンテストについて

 

――ラポールダンスコンテストに参加したきっかけを教えてください。

猪野さん:ラポールを練習拠点に活動し、ラポールが主催する発表の場「横浜ラポール芸術市場」にも参加してきた経緯で、コンテストにも参加しています。
ラポールのダンスコンテストに参加する以前、2018年に初めて外部のコンテストに参加しました。障がいのある子どもたちに順位がつくのはどうだろうという見方も保護者の中にはあったと思うのですが、発表のときに、子どもたちが「賞を取りたい」と手を合わせて真剣に祈っている姿を見て、応援しようという気持ちが強くなりました。それからはコンテストなどの場にも積極的に参加しています。

――フォーメーションの移動も多く、チームワークが感じられるダンスでした。また、衣裳も素敵でしたね。

猪野さん:長年一緒に踊っているメンバーなので、チームの仲はいいです。
2023年と2024年の衣裳は、スタジオニブロールの矢内原さんにお願いし、曲のイメージや振付に合わせてつくっていただきました。2025年はサザンオールスターズの「波乗りジョニー」で踊ったので、曲のイメージに合わせてTシャツを着ています。

2025年コンテストの様子。衣裳のズボン・Tシャツの文字は矢内原さんのデザイン。

 

コンテストに参加して、これからのこと

 

――コンテストに参加して、どんな変化がありましたか。

保護者A:子どもが「一等賞を取りたい」と言うので、じゃあ頑張ろうと応援しています。コンテストが近くなると、家でも練習していますね。障がいがあると、なかなか優劣をつけられる機会もないのですが、「一等賞を取りたい」という気持ちが子どもにあることを、親も発見できてよかったと感じています。

保護者B:コンテストは、これまで開催していた家族に向けた発表のときとはモチベーションが違うように感じます。2023年の初回の大会で最優秀賞を受賞してからは「次も頑張るぞ」という具合で、家での自主練も全然気合いが違いますね。もう一回あの経験をさせてあげたいなあと思います。

保護者C:我が子は元々あまり人と争うのは好きではなくて、みんなが楽しければいいという感じだったのですが、競う場に出ると、悔しいという思いも感じるし、もっと練習しようという思いも持っているようです。いろんなことに挑戦していくことで、本人もわからなかったことや、親も知らなかったところに気づくことができるし、世界が広がっていくなと思っています。ダンスを通して、子どものいろんなところを見せていただいているなと感じます。

保護者D:うちの子どもは5年前からグループホームに入っていて、離れて住んでいます。だからダンスのレッスンに来る時が唯一、親子で一緒に過ごす時間になっています。
チームは仲間意識が強くて、発表の場で自分たちの出番以外でも、曲が流れるとみんなで集まって踊っています。お互いを思い合っているように感じられて、この中に居られるのがすごく幸せだなと思っています。

発表を目前に控えた取材当日。
マイケル・ジャクソンの「スリラー」の曲を、衣裳を身に着けて練習していました

 

――これからの予定や、今後への思いがあったら教えてください。

猪野さん:ダンスコンテストは東京都のコンテストにも出ていて、年に3回ほど機会があります。また、障がいのある人の作業所などで踊ることもあり、そのときは見に来てくれる障がいのある方たちに楽しんでいただけるように見せ方を変えています。
これからメンバーたちも歳を重ねていくなかで、激しいダンスの動きは難しくなっていくかもしれません。ただ歳を重ねることで雰囲気が出てくる踊りもあると思うので、これからも踊り続けられるようなダンスのジャンルも開拓していけたらいいのかなと考えています。
また、こうした障がいのある人のダンスが、もっと広がっていくといいなと思っています。例えば、学校や幼稚園などで、私たちのチームと子どもたちが一緒に踊る機会を作れたらいいなと考えています。障がいのある人や、障がいのある人たちのダンスへの理解を広げ、次の世代につなげていきたいです。